ミニマルについて
undetrozeのプリントデザインのメインは三角や円、タンポグラフィなど、とてもシンプルです。 この概念を"ミニマル"といいます。今回はミニマルについて書いていきます
ミニマル
ミニマルは最小限という意味です。余分な装飾などを削ぎ落し、本質をわかりやすくクリアに、そして際立たせます。シンプルがゆえ心寂しく思う人もいると思いますが、その分メッセージを直線で伝えられ、洗練された美しさがあります。直球ゆえ小さな歪みなどが目立ってしまい、細部への追求が必要です。
ミニマル・ミュージック
音楽の分野にもミニマルはあります。最小限の音で構成された音楽です。
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人力ミニマルテクノユニット「Brandt Brauer Frick」の"BOP"
ドイツのアーティストですが、この公式のMVになぜか日本語字幕が埋め込まれています。ひとつひとつの楽器の音はシンプルですが、全体で絡めるとテンポがかなり複雑です。なのにまとまっていてかっこいいです。
ミニマル・デザイン
デザインの世界にもミニマルはあります。 プロダクトデザインで分かりやすいの製品はiPhoneです。デザインを最小限にする事で、洗練、クリアになり、性能とデザインを研ぎ澄ませます。 Apple社にミニマルデザインが多いのは故スティーブ・ジョブス氏によるものです。ジョブス氏の美しさのこだわりがもの凄いです。 ハードディスクを内蔵し、コンセントひとつで動くオールインワンデスクトップのiMacのデザインもミニマルです。 iPodのデザインもシンプルですが、そこに至る開発が興味深いです。 1000曲の中から、聞きたい曲を選ぶまでにジョブス氏は三回ボタンを押すだけで聞けるようなUI(ユーザーインターフェース)にと指示、そしてスクロール・ホイールでそれを解消、シンプルなデザインを可能にさせました。スクロール・ホイールから、画面に直接操作できるiPhoneへ発展させていきます。
最近のUIデザインのトレンドがフラットデザインです。フラットデザインを初期に取り入れたはiOSです。フラットデザインはWebページやアプリケーションのデザインパーツの影の装飾を極力減らしてフラットに見せるデザインです。
このように、最近はミニマルデザインを日常生活で見る事が多くなっています。
ミニマル・アート
元々1960年代の半ばから、アメリカを中心に現象した還元主義的な傾向「ミニマリズム」から生まれました。 代表的なアーティストを紹介していきます。
ピエト・モンドリアン
ドナルド・ジャッド
カール・アンドレ
ダン・フレイヴィン
ポール・マッカートニーの2013年に発売された最新アルバム「NEW」のジャケットはダン・フレイヴィンの影響が強い
日本とミニマル
日本は古来よりミニマルに精通しているのかなと思います。 まず国旗がそうです。赤い円だけで「日出る国」を表現しています。これってものすごい事だと個人的に思っています。 家紋もそうです。 他には伝統文化である俳句や茶道、陶器なんかも「本質以外を削ぎ落し際立たせる」という点で共通しているのかもしれません。
undetrozeがミニマルを採用している背景
アンデトローゼは「一点物デザイン」を最重視しています。 ミニマルデザインならば、シンプルゆえ配置の組み合わせで無限の応用デザインが可能です。 また、色彩中心の偶発を誘導したマーブルプリントのときも、デザインが主張しすぎず、形と色彩のバランスが非常に良いという事からミニマルを採用しています。
ミニマルデザインについてですが、私はグラフィックデザイナーもしており、これは個人的な事かもしれませんがデザインをつくっていくと不必要なモノがだんだんわかってきて、それを排除していきたくなります。そうしてできた作品は、洗練された美しさがあります。 また、ミニマルはどの時代にも通じる美しさがあり、普遍です。
今後はイラストなどのデザインも取り入れていく予定ですが、基盤は「一点物」「色彩」「ミニマル」で変わらないです。
アートとデザインについて
私はundetrozeの他にグラフィックデザイナーの仕事をしている事からか、アートとデザインについてよく考えます。
アートとデザインの違い
アートとデザインを混合する人は多くいらっしゃると思います。 両者について明確な正解がないので解釈が人によって異なります。
私の中の位置づけは、デザインは問題解決、アートは自己表現です。
Wikipediaに、"デザインの語源はデッサン(dessin)と同じく、“計画を記号に表す”という意味のラテン語designareである。 つまりデザインとは、ある問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現することと解される"とあるように、デザインには目的があり、終着点があります。 デザインは、クライアント(依頼人)がいて、クライアントが抱える問題を解決するために設計していきます。 問題というのは、例えばクライアントに合うイメージをつくるにはどうしたらよいのか?や、クライアントの先のお客様に届ける商品の購入率を上げるにはどのようなレイアウトがいいのか?などです。自分のセンスがクライアントの先のお客様に繋がるのなら、提案をし話し合いながら協力しつくっていきます。クライアントの意見や問題を無視して自分の好みにつくるのはただのエゴです。
一方アートは、自分を表現する行為です。 自らの自己表現の最大の手段は何なのか?それは絵を描く事や、モノをつくったり、歌う事や踊る事もそうです。 アートは誰かの為にする事ではなく、誰かに理解される事は重要ではないという事です。終着点も自分で決めます。作品そのものの価値と、その先にある"創っている人物"に対価を支払うのです。 (ちなみに上記の"自らの自己表現の最大の手段"は将棋のプロ棋士の谷川浩司会長が「将棋とは何か?」と聞かれた際に答えた言葉です)
振り幅100%は少ない
アートとデザインの違いはありますが、どちらなのかをはっきりと定義する事は難しかったりします。 アート100%、デザイン100%というものは少ないからです。
デザインは、自分のセンスを使っても大丈夫な要素が出て来たりしますし、 自分の中ではアートと思って作品をつくっても、お客様の事を考える時点で100%ではなくなります。
例えば歌手は誰でもアーティストと言われるたりしますが、CDを多く売るためや、所属事務所やレーベルのしがらみの中、自分が好きで始めた自分の中の音楽を殺してまでファンが喜んでもらえるような歌をつくる事があります。しかし、その中でも絶対にブレない部分が必ずあります。その人にしか表現できないパフォーマンスがあります。 また、自分の好みと大衆が喜ぶような事がピッタリ合致する人もいます。 アーティストは、アーティストともいえるし、アーティストでないといえなくもあるのです。
1%でもエゴを入れればアートと言っても間違っているとは言い切れないのです。
このはっきり決めつけれないあやふやな感じや、商業デザイナー出身のアンディ・ウォーホルなどが60年代に席巻したポップアート・ムーブメントの存在などが、アートとデザインをわかりにくくしているのだと思います。
undetrozeのアートとデザインの割合
グラフィックデザイナーとしての仕事は、クライアントの為につくるものに対し、アンデトローゼの活動は、エゴを強く取り入れています。 Tシャツをキャンバスと見立ててプリントしているので、生活実用品のTシャツに機能性を持たせなければなりませんが、ブリント部分は機能性を考えなくてもいいので、わりと自由に描く事が出来ます。
個々の作品で考えると、 例えばこのような作品は、タイポグラフィの兼ね合いや配置など、 レイアウトバランスを優先したデザイン要素が強いのに対し、
この作品は、配置よりも偶発を誘導した色彩を優先した、 アート要素を強くとりいれています。
大局的には、アート70%、デザイン30%ぐらいの割合を常に意識しながら制作しています。